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3Rのリユースとは?リサイクルとの違いと私たちにできること | ESG Times

最近よく耳にする「リデュース」や「リユース」。環境問題への取り組みとして重要だとはいいますが、なぜ重要なのでしょうか。リユースとは何か、なぜ必要なのか、具体的にどのような取り組み例があるのか、解説します。

Reuse(リユース)とは?3R(スリーアール)とともに解説

Reuse(リユース)とは、物をくり返し使うこと。日本語では「再使用」や「再利用」と訳されます。

たとえば、不要になった物を他の人と交換する、またびんやボトル、ショッピングバッグをくり返し使うなどの方法があります。環境問題への取り組みとして実施されている「3R(スリーアール)」の1つです。

3Rも最近よく聞く言葉でしょう。これは、リデュース・リユース・リサイクルのことです。リデュースは「発生抑制」、リサイクルは「再生利用」「再資源化」と訳されています。

リデュースでは製品の製造に使う天然資源や製造過程の廃棄物の削減が、リサイクルでは再生プラスチックを使って製造するなどが代表的な取り組みです。

3Rは日本全体で取り組みが進められているもの。実際、2000年6月には「循環型社会形成推進基本法」が公布され、リユースはリデュースに次いで重要なものとして位置付けられました。

リユースを行う目的

なぜ、リユースはこれほど重視されているのでしょうか。リユースを行う目的は、廃棄物による環境負荷を減らすことです。

リユースが必要とされる背景には、日本が昭和時代から続けてきた大量消費・大量廃棄の問題があります。

日本では、昭和時代から大量消費・大量廃棄が問題になってきました。大量生産されたものを大量に消費して簡単に捨てるというやり方は、生活の豊かさを示すライフスタイルとして受け取られてきた面があります。そのため、当初はあまり問題視されませんでした。

しかし、やがて廃棄物の処理による公害の発生、不法投棄の増加といった問題が顕在化。適切に処理するにしても、処理の過程で二酸化炭素を大量に排出することになり、環境に付加がかかるという課題が明らかになったのです。

根本から問題を解決するには、廃棄物の量を減らさなければなりません。

リユースは、一度使ったものを二度、三度と再使用することで、廃棄物を減らそうという取り組みです。リユースを続けることで、「どんどん作ってどんどん使う」というライフスタイルが変わり、環境負荷を軽減できると期待されています。

こうした取り組みはESG投資でも注目されやすく、企業にとっても無視できるものではありません企業にとってのESGの重要性は、以下の記事で詳しく解説しています。

リユースはリデュース・リサイクルとの違い

ここで、リデュース・リユース・リサイクルがそれぞれどのように異なり、お互いどのような関係にあるか考えてみましょう。それぞれの違いや関係性を理解すれば、より適切に3Rの取り組みを進められます。

リユースとリデュースの違い

リユースとリデュースは同時に行うこともできますが、厳密には同じではありません。リデュースは「もとから減らす」取り組みである一方、リユースは「もう一度使う」取り組みであるためです。

たとえば、クリーニング店で考えてみましょう。クリーニング店では、ハンガーにかかった状態で衣類が返却されることが多いもの。しかし、一部の店舗ではハンガーを使わない「たたみ仕上げ」での返却が可能です。これは、「使うハンガーを減らす」というリデュースの一例です。

一方、リユースではハンガーを再使用します。まずは、たたみ仕上げに適さない衣類をハンガー掛けで返却。そのハンガーを自宅で使う、またはお店に返却するといったやり方があります。

リデュースとリユースに同時に取り組むことで、「天然資源の消費を抑え、廃棄物も減らす」ことが可能になるのです。

リデュースの具体的な取り組みについては、以下の記事もあわせてご覧ください。

リユースとリサイクルの違い

リユースとリサイクルも混同されやすい考え方です。「リサイクルショップ」というとき、広い意味ではリユースも含まれています。

しかし、リユースとリサイクルも厳密には同じではありません。リユースは不要になったものを「そのままの形でもう一度使う」こと、リサイクルは不要になったものを「適切に処理・加工して資源化し、新しい物を製造する」ことを意味します。

たとえば不要になった衣類の場合、お店に買い取ってもらったり他の人に譲ったりして、もう一度使ってもらうのがリユースです。

これに対し、不要な衣類を回収し、そこから再生ポリエステルや再生ウールを製造したり、自動車の内装材として活用したりするのがリサイクルです。

他の身近なリサイクル例では駅のベンチもあります。切符を細かく裁断して樹脂で固めることによって再資源化し、人が座れる強度と大きさのベンチに作り直しています。

リユースできる物を積極的にリユースし、「これ以上は使えない」というときにリサイクルして別の物としてまた使うという2段階の取り組み。こうすることで、廃棄にかかるコストや製造に必要な天然資源を効果的に減らすことができるのです。

企業によるリユースの取り組み

企業によるリユースの取り組みは多岐にわたります。リユース自体を事業とする例もあれば、製造・販売などを中心に手掛けてきた企業が自社製品をリユースする例もあります。

それぞれの取り組み事例を順番に見ていきましょう。

取り組み例1:デジタルリユース株式会社

デジタルリユース株式会社は、大手企業などで不要になったパソコンなどの機器を1台から買い取り、データを消去して再生PCとして販売している企業です。

データ消去だけのサービスも提供しており、官公庁のデータ消去実績も多数。リース・レンタルアップ処分支援、在庫処分支援サービスも手掛けます。

同社の最大の特徴は、Microsoft Authorized Refurbisher認定企業であることです。

Microsoft Authorized Refurbisherは正規Windowsを再生事業者向けに提供するMicrosoft公式のプログラム。認定されると再生PCにインストールされたWindowsが正規品として認められ、セキュリティアップデートや最新機能が利用可能になります。

確実にデータを消去し、正規品として再生PCを提供するというサービスで大きな信頼を得て、年間57万点以上の取り扱い実績を誇っています。

取り組み例2:セキスイハイム

積水化学工業住宅カンパニーのセキスイハイムでは、販促に利用した住宅展示場を新しい住宅として再利用販売価格で提供する「リユースハイム」を行っています。

通常、展示場はその役目を終えると解体・廃棄されます。しかし、セキスイハイムでは、環境配慮として、展示場をリユースするという手段を選びました。ユニット工法だからこそできるリユース方法です。

出典:セキスイハイム「リユースハイム」

リユースハイムの提供が決定すると、展示場は解体され、購入者が移築を希望する場所に運んで再築されます。再築後も10年以上の長期保証があり、長く住むことが可能です。

リユースハイムから得られる会社側のメリットは、環境に配慮した形で事業を展開できること。リユースハイムにすることで、展示場の50%以上がリユース可能になります。

購入するお客さまにとってのメリットは、完全な新築の住宅を購入するよりも安く済むということ。元モデルハウスといっても、ある程度の間取りや内装の変更が可能ですし、建築基準法に基づくチェックも行っているので安心です。

取り組み例3:アクアクララ株式会社

アクアクララ株式会社は、早い時期から3Rに積極的に取り組んできました。リユースへの取り組みもその一環です。

アクアクララの主な事業は、清涼飲料水製造・宅配事業。フランチャイズ展開する宅配水業界のリーディングカンパニーです。

同社における主なリユース対象は、水の宅配に使われるウォーターボトルやウォーターサーバーです。特に回収頻度の高いボトルでは、くり返し使えて環境に優しいリターナブルボトルを採用。使用後に回収して洗浄殺菌を行いリユースしています。

12リットル入りのレギュラーサイズのウォーターボトル1本で、500mlペットボトル24本分のゴミを削減できるとのことです。

国によるリユースへの取り組み

出典:環境省「Re-Style パートナー企業」

国による取り組みでは、3Rを推進するキャンペーンやイベントの開催、事例紹介などがあります。

たとえば、環境省では、リユースを含む3Rについて優先順位を規定した「循環型社会形成推進基本法」に基づき、リデュースとリユースを推進するキャンペーンを展開。毎年10月を「3R推進月間」としています。

「3R推進月間」には、体験型イベントやワークショップを開催するほか、リデュース・リユースの先進的取り組み事例を紹介。3Rに取り組むパートナー企業の募集も行っています。

個人でできるリユースの取り組み例

個人でできるリユースの取り組みは、リユースを前提として商品を選んだり、「他の人に譲る・売る」「他の人が使ったものをもらう・買う」などを意識することで進められます。

リユース例1:リユース可能な商品を選ぶ

個人で取り組める最も手軽なリユースは、リユース可能な商品を選ぶことです。

リユース可能な商品にはいろいろありますが、マイカップ・マイボトル、リターナブルびんに入った飲料、詰め替えボトルに入った洗剤、何度も使えるショッピングバッグなどが代表例でしょう。

こうした商品を選ぶことは、新しい容器や袋の製造に使う天然資源の量も減らせるため、リデュースにもつながります。

リユース例2:身内・友人と交換する

次に手軽なリユースの方法は、不要品を身近な人と交換することです。

衣類、家具、電気製品など、必要としている人と不要になった人とで交換できれば、廃棄物を減らせるだけでなく、お互いに購入・廃棄する手間やコストも省けます。

知り合いに交換相手がいない場合でも、地域の不要品交換のための掲示板や施設を利用できるかもしれません。

たとえば、神奈川県相模原市の「橋本台リサイクルスクエア」「麻溝台リサイクルスクエア」では、リユース家具の展示と譲渡を実施。東京都八王子市では、学生が卒業に伴って不要になった家具等をリユースする「大学リユース市事業」に取り組んでいます。

リユース例3:リユースショップを利用する

リユース品を扱う専門ショップを利用すれば、不要品をリユース品として提供することも、必要なものをリユース品として格安で購入することもできるでしょう。

リユースショップの運営は自治体によるものもあれば民間によるものもありますが、民間でのリユースショップが有名です。

出典:政府広報オンライン「まだ使える不用品を活かす!エコでお得な「リユース」を考えてみませんか?」

近年大きく注目されているのは、株式会社ゲオによるリユースショップ「セカンドストリート」でしょう。大量の衣服やノーブランド品を持ち込んでも1点1円以上の値段で買い取ってもらえる点が人気です。

リユース例4:フリーマーケットやインターネットオークションで売り買いする

自治体や学校が主催するイベントでリユースを行うなら、フリーマーケットやバザーが便利です。

フリーマーケット等の開催情報は、地域の広報誌や自治体、学校の公式サイトの他、インターネット検索でも見つけられます。「フリーマーケット」と地域名で検索すれば、情報提供サイトがたくさんヒットするでしょう。

不要品をイベント会場や店舗に持ち込むのが大変な場合は、インターネットオークションも選択肢の1つ。「メルカリ」や「ヤフオク!」が代表例です。

フリーマーケットやインターネットオークションでは自分で価格を決められるので、珍しいものやコアなファンがいる物品なら高額でも売れるかもしれません。

「近くにもらい手がいない」「リユースショップで買取を断られた」という物は、一度フリーマーケットやオークションに出してみるとよいでしょう。

「もう捨てる」から「もう一度使う」へ

環境への負荷を軽減する3Rでリデュースに次いで重要なリユース。個人ではすでに実践しているかもしれませんが、社内では取り組めているでしょうか。

企業がリユースを推進する方法としては、「自社製品のリユースを可能にする」「リユース品を意識して調達する」「廃棄する際はリユースにつながる方法を選ぶ」などがあります。

リデュースやリユースへの取り組みは、ESG投資でも無視できないもの。さっそく職場内を見回して、リユースできそうなポイントを探してみてください。洗剤の詰め替えボトルやウォーターサーバーの利用、社員同士の「譲ってください・譲ります」など、まずは手近なところから始めることはできるのではないでしょうか。

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