FSC®森林認証とは?

FSC認証とは、「森林の管理や伐採が環境や地域社会に配慮して行われているかどうか」を評価・認証し、そのような森林に由来する紙製品であることを証明するための認証です。
FSC認証のついた紙製品は、環境に悪影響を及ぼさないように適切に管理された森林の木材から生産された紙製品である、ということができます。
FSC®森林認証が登場した背景

FSC認証が登場した背景には、近年の森林破壊やその悪影響が深刻化していることがあります。
近年過度な森林伐採や焼畑農業、気候変動による山火事などによって、世界の森林は深刻な勢いで減少しています。年間に減少する森林は約1000万ヘクタールのペースと言われており、これは日本の面積の1/4にもあたります。
森林の破壊は地域の動植物の生態系の破壊、住民の生活環境の悪化、地球温暖化の促進など、幅広い範囲に悪影響を及ぼします。
そこで、森林破壊の加速を受けて森林の保全と持続可能な利用に関する意識が高まったことを背景に、1994年にFSCが発足しました。
FSCは認証マークを通して適切な管理下の木材の消費を促すことで、森林の保護と持続的な森林活用を目指しています。
FSC®森林認証の10の原則と70の基準

FSCの森林認証制度では、適切な森林管理を判断する10の原則と70の基準が定められています。10の原則に関しては以下の通りとなっています。
- 合法性の遵守
- 労働者の権利の保護
- 先住民族の権利の保護
- 地域社会との関係の維持
- 森林からの便益の確保
- 環境への影響の配慮
- 管理計画の策定
- モニタリングの実施
- 保護価値の高い森林の保存
- 管理活動の実施
これら上記の原則1つ1つに対して、その原則を満たしていることを判断する基準が複数、合計で70定められています。例として、原則2「労働者の権利の保護」を満たす基準は以下の通りです。
- 国際的に認められた労働者の基本的な権利を守っている
- 男女を平等に扱っている
- 安全のための取り組みを行っている
- 最低賃金を満たしている
- 労働者に必要な教育や訓練を行なっている
- 労働者からの意見には誠実に対応し、労働災害の補償を適切に行なっている
FSC認証の種類

木材や紙製品をFSC認証商品として販売するためには、FM認証とCoC認証の2種類を取得する必要があります。
FM認証
FM(Forest Management)認証とは、木材の生産元の認証のことです。
FSCの定めた森林管理の規格を満たした森林から生産された商品にはFM認証が付与され、持続的な森林活用の範囲内で生産された木材であることが証明されます。
CoC認証
CoC(Chain of Custody)認証とは、FM認証を受けている木材が消費者に届くまでの加工・流通過程の認証のことです。
木材は切り出されてから最終製品として消費者の手に届くまで、長くて複雑な加工・流通過程を通ります。CoC認証ではその過程の中で FM認証材とそうでない不適格な木材が混ざり合っていないかを確認する認証となります。
これら2種類の認証の有効期間は5年間です。ただし、1年に1回認証機関による監査があるため、不遵守が見つかった場合は改善命令が下され、一定期間内の改善が求められます。
企業がFSC認証紙を導入するメリット

企業が企業活動を行う際にFSC認証製品を選ぶメリットは、持続的な森林経営や林業を間接的に支援し、環境保全に貢献できることです。
FSC認証製品が優先的に消費されるようになれば、森林経営者や林業業者は認証を受けるために管理の改善を行うようになり、それが適切な森林管理の促進につながるからです。
そして近年環境や社会に配慮した企業経営(ESG経営)を行う企業に投資を行うESG投資の流れが盛んであるため、 FSC認証製品を使用して環境保全に貢献することは自社への投資を促し、企業価値の向上にもつながる可能性があります。
fsc認証製品を導入してる企業のESG事例
現在数多くの企業がFSC認証紙の導入を進めています。
FSC認証紙導入活動の代表的な事例としては、2018年7月にFSC認証材の調達を約束する「FSC認証材の調達宣言2020」が発表されました。この宣言では、以下7社が FSC認証材の調達を約束しています。
- イケア・ジャパン
- 花王
- キリン
- スターバックス・コーヒー
- 日本生活協同組合連合会
- 日本マクドナルドホールディングス
これらの企業のFSC認証紙導入への活動はかなりめざましく、例としてキリンは2019年7月に、紙製容器包装に使用する全ての紙のFSC認証紙への100%切り替えを達成したことをホームページで発表しています。