3Rのリデュースとは?リユース・リサイクルとの違いと取り組み事例

Environment(環境)
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Reduce(リデュース)とは?

リデュースとは、ごみの発生を減らしたり資源の消費を減らしたりすることです。たとえば、商品の容器をシンプルなものにしたり、再生プラスチックを使って製造したりするなどの方法があります。

世界全体で環境問題が浮き彫りになっている現在、天然資源の使い方を改めるべきだという流れが生じています。天然資源の「使い捨て」を減らし、資源が循環するような社会を構築しようというものです。

そうした「循環型社会」実現のため、日本では2000年6月に「循環型社会形成推進基本法」を公布。限りある資源を有効活用する循環型社会を作るにあたって何を優先するのかを規定しました。その中で、リデュースを最も重要と位置付けたのです。

環境省では、リデュースなどの推進にあたり毎年10月を「3R推進月間」とするほか、リデュース・リユースの先進的取り組み事例の紹介を行っています。

なぜリデュースが必要なのか?

リデュースを行う最大の理由は、環境への悪影響を減らすためです。

大量消費・大量廃棄は、昭和の時代から問題になってきました。ゴミ焼却場が公害発生源になり、不法投棄も増加。国民の健康被害や環境問題が訴えられ、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」などで規制を行ってきたのです。しかし、廃棄物は減りませんでした。

廃棄物が減らなければ、新たに最終処分場を確保しなければなりません。ところが、処分場の確保自体が現在はとても困難。不法投棄の問題も依然として深刻です。

そこで、根本から廃棄物を減らそうというリデュースの取り組みを重視するようになったのです。

天然資源の消費を抑えて資源を循環させる「循環型社会」は、国・自治体・企業・一般市民が一丸となって取り組んでこそ実現できるもの。リデュースの取り組みはESGとも密接に関係しています

ESGについては、以下の記事で詳しく解説しています。

3R(スリーアール)と5R(ファイブアール)

リデュースと他の2つを組み合わせた取り組みを「3R(スリーアール)」と呼びます。3Rは環境負荷を減らし循環型社会をつくっていく大切な考え方・取り組み。3Rにあと2つを加えて「5R(ファイブアール)」とすることもあります。

3Rはリデュース・リユース・リサイクル

3Rとは、リデュース・リユース・リサイクルのことです。

リユース(Reuse・再使用)とは、一度使ったものでも、もう一度使えるものは廃棄せずに再使用すること。ビールびんのようなリターナブルびんを販売店で回収し、専門業者で洗って再使用する取り組みや、リサイクルショップの活用などがリユースにあたります。

リサイクル(Recycle・再生利用)は、もう再使用ができないものを再生資源としてもう一度利用することです。

プラスチックやペットボトル、びん、缶などは分別されて資源ゴミとして回収されます。それらは再生資源となり、新しいプラスチック製品や部品などに生まれ変わっています。

出典:「3Rまなびあいブック(大人向け)」環境省

5Rで加わる2つのR

3Rに2つのRを加えて5Rとすることもあります。追加される2つのRにはいくつかのバリエーションが見られますが、代表的なのは「リフューズ」と「リペア」です。

リフューズ(Refuse・断る)は、要らないものは買わない・もらわないこと。レジ袋をもらわないことや、食べきれない量の買い物をしないこと、過剰包装を断ることなどの例があります。

リフューズはリデュースに含まれることもあります。

リペア(Repair・修理)は、製品などを修理して長く使い続けることです。これも、リデュースに含まれることがあります。

他のバリエーションとしては、たとえば東京都国立市の5Rがあります。国立市では、リフューズではなくリターン(Return)を用いるのが特徴です。

出典:「くにたちECOプロジェクト(5R)の推進」

リターンは、購入したところで回収しているもの(びんなど)は、回収をお願いするということ。リユースやリサイクルに含まれることもある考え方です。

リユースやリサイクルとの違い

3Rのリデュース・リユース・リサイクルの内容は分かりました。では、この3つはそれぞれどのように異なり、どのように関連しているのでしょうか?

リデュースとリユースの違いと関係

リデュースとリユースの違いは、「もとから減らす」と「もう一度使う」の違いです。

リデュースせずにリユースばかりに取り組む場合、製品の再使用はされますが、天然資源をたくさん使って製造・配送することが続きます。これでは、限りある資源をくり返し使うことにはなりません。

リデュースだけを行ってリユースをしないと、省資源で製造はしていても一度使ったら廃棄するという事態が続くため、また資源を消費して作り続けなければならないでしょう。

使う資源を減らして製造し、その製品をくり返し使うことが、リデュースとリユースの両方が成り立っている状態です。

リデュースとリサイクルの違い

リデュースとリサイクルの違いは、「もとから減らす」と「資源としてもう一度使う」の違いです。

リデュースとリサイクルは密接な関係にあります。リサイクルによって再生資源が生まれるからです。再生プラスチックなどの再生資源を使って製造すれば、天然資源の消費削減というリデュースが実現します。

リデュースによって製造され、それが適切に処理されリサイクルされることで、再びリデュースが可能になるという循環構造が、リデュースとリサイクルの関係です。

企業でのリデュース取り組み事例

では、リデュースとしてどのような取り組みが実際にあるのでしょうか?

企業による3Rの取り組みから、リデュースの具体例を見ていきましょう。

省資源化

キリンで取り組むリデュースでは、飲料の缶の薄肉化や小口径化を実施。これにより、約33%の軽量化を実現しました。

缶の軽量化は、原材料の使用量削減や、製造・輸送時の二酸化炭素排出削減につながります。実際、原材料の使用量は約37万トンの減量となりました。

長寿命化・修理体制の整備

楽器やアンプなどを扱うヤマハでは、独自の基準で環境に配慮した製品を認定する「ヤマハエコプロダクツ制度」を導入。それとともに、製品の長寿命化に取り組んでいます。

長寿命化の具体的な取り組みは、楽器のメンテナンスや修理、アップグレードなどの技術・体制の整備です。

たとえば、ピアノに消音機能を後付けしてリニューアルして使ったり、エレクトーンの部品を交換することでアップグレードするなどの取り組みがあります。

廃棄物等の削減

丸井では、デザイン・履き心地・一人ひとりに合うサイズという点に着目した商品開発を行うことで、廃棄物の削減というリデュースを実現しました。

丸井のプライベートブランド「ラクチンきれいシューズ」は、お客さまと一緒に商品開発を行っていることが最大の特徴。サイズや履き心地の問題で「買ったけれど履かない」靴を減らす取り組みです。

ニーズに合った商品をきちんと提供できることはリデュースにつながるだけでなく、企画会議に参加したお客さまからの信頼感や親近感アップにも貢献しました。

丸井のESGに関する取り組みは、以下の記事で詳しく紹介しています。

個人で取り組むリデュースの具体例は?

リデュースには、企業全体で取り組むものだけでなく、個人で進められるものもあります。少しずつ取り組みを増すことで、より大きなリデュースにつなげられるでしょう。

マイバッグ利用でレジ袋をリデュース

レジ袋が有料化され、多くの人がマイバッグやエコバッグを使うようになりました。

レジ袋の原料は石油。1年間で約300億枚のレジ袋がゴミになっているといわれており、石油を大量に消費する生活を私たちは続けてきたことが分かります。

日常的に使うレジ袋の量を減らせば、レジ袋の生産・廃棄を減らせます。これにより、天然資源である石油などのムダ使いを減らすことができるでしょう。

マイボトルでペットボトルをリデュース

マイボトルで飲み物を持ち歩く人も、よく見かけるようになりました。

たとえばお茶やコーヒーの場合、お店や自動販売機で買うたびにペットボトルや缶のゴミが出ます。しかし、家やカフェでマイボトルに詰めれば、余計なゴミは出ません

今はさまざまなタイプのマイボトルが売られていますので、お気に入りのボトルで飲む嬉しさもあります。

シェアリングシステムで無駄をリデュース

シェアリングシステムとは、あまり頻繁には使わないものを「みんなで共有して使う」こと。近年急速に普及が進んでおり、カーシェアリングやサイクルシェアリングが代表例です。

車の使用頻度が低い場合、一家に1台の車を持つよりも必要な時に車を借りるほうが資源の節約になります。また、車のメンテナンスや維持費も節約できるといった家計上のメリットもあるでしょう。

車や自転車以外では、ブランドバッグのシェアリングが可能なサブスクリプション「ラクサス」も人気です。

リデュースで明るい未来へ

3Rのリデュースは、環境への悪影響を減らして豊かな地球を未来に残すために欠かせません。

企業では、ものづくりの段階からリデュースに取り組むこともできますし、オフィス内でリデュースを進めることもできます。

ビジネスの現場でも、未来に対して責任をもって行動することが大切。責任ある姿勢をもった企業は顧客や投資家からの信頼や評価も得やすくなりますし、「ESG投資」も受けやすくなります

地球の明るい未来へつなげるため、社内でもリデュースを始めましょう。

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