カーボンニュートラルとは?行うメリットと企業の好例を紹介

Environment(環境)
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カーボンニュートラルとは

カーボンニュートラルとは、二酸化炭素(Co2)の排出量と吸収量の差引きをゼロにすることをいいます。

近年温室効果ガスが原因で地球の温暖化が進み、環境の悪化は深刻な問題です。

そこで2017年パリで開かれたワン・プラネット・サミットにおいて、カーボンニュートラル宣言が発令され、世界では脱炭素社会に向けてさまざまな取り組みが行われています。

日本では2020年10月の臨時国会にて菅総理が「2050年までに温室効果ガスを全体としてゼロにする」と表明し、国内の企業でもカーボンニュートラル実現に向けて動き始めたのです。

Co2排出抑制のために重要なカーボンフットプリントについては、こちらの記事をご覧ください。

企業がカーボンニュートラルを実行するメリット3点

カーボンニュートラルを実行するメリットは、地球温暖化を止めることはもちろんですが、企業を界中にアピールできるとても良いチャンスです。

企業にとって、カーボンニュートラルを実行するそのメリットは何なのでしょうか?そのメリット3点を説明します。

メリット1:社会貢献ができる

Co2の排出量をゼロにすることで、地球環境のための社会貢献ができます。社会貢献を行えば、国内外からも注目されて、また業務の中で地球環境のために貢献するといった良い循環が生まれるでしょう。

メリット2:国からカーボンニュートラル対策の補助金がでる

国はカーボンニュートラル促進するために特別償却や税額控除の優遇税制を行っており、この優遇税制のおかげで、企業側はカーボンニュートラルの実行を行いやすくなるでしょう。

なお優遇税制の内容ですが、温暖化ガス削減に有用な設備であれば50%の特別償却か5%の税額控除を受けられます。

メリット3:次の世代をリードしていける企業になれる可能性がある

Co2を還元・分解していく技術は、今後日本企業では当たり前になってくるでしょう。

世界ではカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みが行われていますが、まだ発展途上な部分も多く課題も残されています。

そこで早い段階から地球環境に配慮した技術を開発すれば、次の世代をリードしていける企業にもなれる可能性は充分あるのです。

カーボンニュートラルに向けた次世代発電3点

次世代発電を支援することで、企業は世界に向けてカーボンニュートラルに積極的だということをアピールもできます。

Co2を出さずに多くの電力を生む発電といえば原子力発電ですが、福島原発事故の影響で現在原子力以外の電力が求められています。

次世代燃料の候補はたくさんありますが、今回はその中でも、特に期待されている3点を紹介します。

その他クリーンエネルギーの種類と特徴についてはこちらの記事をご覧ください

1:洋上風力発電

障害物がない海上に風力発電機を設置することで、安定した電力を生み出せます。

水深が深い箇所は浮体式洋上風力発電を利用しているおかげで、埋め立てによる海への環境汚染もないのが大きなメリットです。

海上に設置するのは難しいところはありますが、日本は造船技術が優秀なおかげで国際競争力において優れており、洋上風力発電は日本企業が主体になる可能性も大いにありえるでしょう。

2:水素発電

水素は次世代のエネルギーや、地球温暖化対策として非常に期待されている資源です。

理由ですがCo2を発生しないのはもちろん排出するのは水のため、その水の再利用をすることで、無駄にならないメリットがあります。

しかし現状では海外から輸入する割合が高く、運搬船のコスト面をどれだけ引き下げられるかが非常に重要な課題となります。

3:バイオマス発電

バイオマスは、有機廃棄物を燃料としています。家畜の排泄物や稲ワラ等を利用してガスに変換し、CO2を排出しない点と活用されていない廃棄物の再利用をするので、エコロジーな発電といえるでしょう。

バイオマス発電の燃料はバイオガスやバイオエタノールがあり、最近よく聞くようになってきた期待の次世代燃料です。

カーボンニュートラルを実行している国や企業の好例

持続可能な目標のために世界中で実行されているカーボンニュートラルですが、実際どのような活動を行っているのでしょうか?

そこで、これからカーボンニュートラルを実現しようとしている経営者に向けて、国内外の企業が実際に行っている好例について紹介します。

好例1:三菱エンジニアリング

Co2の回収装置に力を入れており、主な実績は米国で世界最大の回収プラントの建設です。

米国は、Co2の排出量が世界2位という事実があり、その国にCo2の回収プラントを建設することで、カーボンニュートラル実現に積極的な企業というアピールに成功しました。

親会社である三菱重工も「排ガスからのCo2回収では世界トップシェア」と謳っていて、その技術力に注目も集まっています。

好例2:スズキ自動車

軽自動車を主力とするスズキでは、政府の方針である「2030年代に、ガソリンで動く車の販売をなくす」ことを目標に、脱炭素に向けて軽自動車の電動化を進めています。

2020年にはインドでの試験走行が実施され、同国では乗用車の需要が高いため環境負荷の低いEV車の販売を進めています。

出典:「日本経済新聞

好例3:ダイムラー(ドイツ)

ドイツではカーボンニュートラルに積極的な国で、官民を挙げて取り組んでいます。

その一例としてドイツの自動車メーカーであるダイムラーは、水素燃料の利用拡大や電池システムの量産に向けた開発を進めています。

好例4:ダノン・グループ(フランス)

フランス食品大手のダノン・グループはリサイクル素材を使用し、ラベルも貼られていない新しいボトル「ブランドエビアン」を発表しました。

このボトルは100%リサイクルも可能で、素材が半永久的に利用できるサイクルを生み出したことにより、世界中から環境を配慮した企業として認知度が一気に広まったのです。

ダノンジャパンでは2020年3月から、リサイクルプラスチック使用率を10%のペットボトルを導入し、2025年までに100%の使用率を目指しています。

カーボンニュートラルの問題点とは

世界中で実行しているカーボンニュートラルですが「都合の良い詭弁である」という声もあります。

新しいことをやると批判の声も必ず出てくるように、カーボンニュートラルも何か問題点があるのでしょうか?

そこでこちらの見出しでは、カーボンニュートラルの問題点を4点説明していきます。果たしてCo2をゼロにできるというのは嘘なのかを見ていきましょう。

問題点1:完全にCo2を出さないようにするのは不可能に近い

生活必需品であるプラスチックを作るためには、どうしても原油が必要になります。さらにその原油を燃やせば絶対にCo2が排出されるので、逆に地球温暖化が加速してしまう要因です。

しかも航空機の燃料は原油を精製したものなので、Co2の排出をゼロにするのなら燃料を有機燃料にするか、航空機の利用はできないという、不便な事態になってしまいます。

問題点2:自然エネルギーだけだと電力不足になる

自然エネルギーの1つである太陽光発電は、晴れたときしか活躍はできず曇りだと電力は激減し、雨や雪だとそれこそゼロになってしまう恐れがあります。

風力発電でも無風だと電力はゼロになるし、逆に暴風時だと事故を防ぐために停止してしまいます。暴風が原因で発電機が倒れてしまう事故も少なからず発生しており、事故による倒壊や安定した電力は供給できるのかなど、問題は山積みなのが現状です。

問題点3:木質バイオマスを燃やすという矛盾点がある

燃やせば当然Co2は排出します。カーボンニュートラルは、Co2の排出量と吸収量をプラスマイナス0にするのに、Co2が増えてしまっては矛盾が生じます。

バイオマスは、カーボンニュートラルの特性があり、燃やしてもCo2は出ないといわれていますが、どうも嘘っぽい話です。

カーボンニュートラルは、本当に地球環境のためのものなのか、それとも一部の人間が儲かるためだけの詭弁なのか、怪しいところもあります。

問題点4:Co2の吸収量が圧倒的に足りていない

Co2を削減するために植林をするにも土地が足りず、排気ガスが出る国道に植林したとしても、吸収量が増えた印象は、あまり感じられないでしょう。

それに製造や輸送に少しでも化石燃料を使えば、排出量は吸収量をすぐ上回ってしまい、逆に化石燃料の使用を一切できなくしたら、生活に支障が出てしまいます。

もう1つ問題があり、Co2を吸収するのに必要不可欠な天然林は毎年減少していて、本当にに2050年までに、カーボンニュートラルは実現できるのか不安な部分です。

環境保護のためにもカーボンニュートラルは必要なこと

地球環境が深刻な問題になってきた近年にカーボンニュートラルを行うことは、地球はもちろん企業にとっても大切なことです。

自然発電機の設置などさまざまな問題は残っていますが、その問題を解決できるように案や自然団体などに投資を行えば、この企業は環境問題に積極的と見られ、さまざまな恩恵が受けられます。

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