SOMPOホールディングスのESG事例!ESGランキング1位の取り組みを11000字で徹底解説

ESG経営
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環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)といった非財務面を重視したESG投資が世界的に広がっている中で東洋経済新報社が毎年発表しているESGに優れた上位200社を最新版「ESG企業ランキング」で3年連続1位を獲得している企業があります。それがSOMPOホールディングスです(以下SOMPO)。

実はSOMPOはSDGsやESGという言葉が登場するかなり前から先陣を切ってサステナビリティ活動を行なってきた、日本ESGの先駆的企業と言えます。今回はそのSOMPOのESGへの取り組みを徹底解説します。

SOMPOHDのESG概要と歴史

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SOMPOホールディングスは、東洋経済新報社が発表した「ESG企業ランキング2020」において、3年連続で第1位を獲得している、ESG先進企業です。

このランキングでは、環境/社会性/企業統治/人材活用の4観点でそれぞれ100点満点の評価をつけ、その合計点で並べ替えたものをその企業の順位としています。

SOMPOの得点は以下のようになっています。

総合得点 環境  社会性企業統治人材活用
395.3100.096.3100.099.0

総合得点は395.3点、さらに各部門でもいずれも高得点を記録しており、各領域において幅広くESGへの取り組みが行われていることがわかります。

SOMPOがこのような牽引的立場に立っている理由の一つとしては、取り組みの速さがあります。

ESGという概念が登場したのは2006年の国連により提唱されたPRI(責任投資原則)ですが、SOMPOのESGやサステナビリティへの取り組みの始まりはそれよりもはるか昔、1992年に遡ります。1990年代の主な取り組みは以下の通りです。

  • 1992年:国内金融機関で初めて「地球環境室」を設置し、地球環境問題への対応を開始
  • 1998年:「環境レポート」の発行を開始
  • 1999年:SOMPOアセットマネジメントがエコファンド 『損保ジャパン・グリーン・オープン(愛称:ぶなの森)』の運用を開始
  • 2001年:国内金融機関で初めて 「環境・社会レポート2001~サステナビリティレポート~」を 発行

このようにSOMPOはかなり初期から組織体制の構築や情報開示を始めており、国際的にPDCAサイクルの実効性が認証された組織体制を導入するなど、他社に先んじて先進的な取り組みを進めています。

SOMPOにはESG経営とESG投資の2側面ある

注意すべき点は、SOMPOのESGには「ESG経営」と「ESG投資」の両側面あるということです。

一般的に「企業のESGへの取り組み」というと、自社製品やサービスの提供時に環境や社会に及ぼされる負担の軽減(ESG経営)など経営的な面を指しますが、SOMPOは事業会社である一方で、集めた保険金を運用する投資会社でもあります

すなわち企業の保険事業の投資活動を通してESG投資の面から貢献することもできるということです。

今回はESG投資とESG経営の両側面に着目して、それぞれ解説していきます。

SOMPOHDのESGへの具体的取り組み(ESG全般)

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まずはESG活動全般にかかるSOMPOの活動について見ていきましょう。大きく3点あり、組織体制の構築・目標の策定・各種イニシアチブへの参加です。

組織体制の構築

まずはSOMPOの構築している組織体制についてご紹介します。

組織体制の構築も、大きく組織の構成人員の育成体制の二つに分かれています。

組織・人員の配置

まずは組織の構成についてです。組織の構成の中でも、SOMPOグループ全体のESGを取りまとめる組織の構成と、グループ各社のESGへの取り組みを実行・推進する体制に分かれています。それぞれ見ていきましょう。

グループ全体のESG体制
出典: SOMPOホールディングスコーポレートサイト「マネジメント体制」

SOMPOグループ全体のESGやサステナビリティ活動の協議はサステナビリティ・CSR協議会」にて行われます。

この協議会はSOMPOグループのCOOを議長、主要グループ会社のCSR担当役員がメンバーとなっており、以下の役割を有しています。

  • グループ各社のCSR担当役員による協議、ESG/CSRの全体方針の策定
  • SOMPO経営執行協議会(MAC)への報告
  • 策定された内容の各グループ会社への周知

グループ全体のESG/CSRの目標や方向性を策定し、それをグループの経営方針と統合しながら各グループ会社に伝え推進させる、いわばSOMPOグループのESG/CSR活動の心臓部を担う組織になります。

グループ各社の体制
出典: SOMPOホールディングスコーポレートサイト「マネジメント体制」

SOMPOグループ各社では、ISO(国際標準化機構)で実効性の認められているPDCAサイクルの仕組みをベースに、CSR全般を対象としたマネジメントシステムを構築しています。

具体的には、グループ各社で上表のようにCSR担当者を階層的に配置しています。社長または CSR担当役員がCSR地区統括責任者を務め、そのもとにCSR管理責任者、CSRリーダーを配置する体制です。

また、すべての職場にCSRチェッカーという推進担当が、グループ合計で2800人配置されており、各職場でのボトムアップで自律的な取組み強化を目指しています。

ESG/CSR担当者や社員の育成

上記のような組織構成と人員配置に加えて、ESG/CSRに取り組むための各社員の育成も行われています。

  • ISO26000、SDGs、ESGに関する情報などを盛り込んだ独自の教材を作成し、グループ社員を対象に研修
  • 執行役員・新任部店長・新入職員などを対象とした階層別CSR研修を実施
  • 毎年、CSRの有識者を招き、商品開発部門や経営管理部門の部署等とのダイアログの開催

これらの活動を通してグループのESGや CSRリテラシーの向上、マインドの向上を図っています。

目標の策定

目標策定にもグループ全体の目標設定と各職場の目標設定それぞれについて見ていきます。

グループ全体の目標策定

近年のSOMPOの目標策定では、以下のように段階を踏んでグループビジョンから目標まで定めています。

  • 2010年:NKSJホールディングス(現SOMPOホールディングス)の発足と同時に「グループCSRビジョン」の策定
  • 2011年~2012年:グループのCSR課題の特定
  • 2013~2014年:グループのCSRの重点課題の策定

このように段階的にグループのビジョンからトップダウンで具体的なKPIや目標まで降ろすことで、適切な課題特定と目標設定を行いグループ全体の取り組みの実効性を高めています。

またSDGs登場後の2016年には、「安心・安全・健康のテーマパーク」の実現 を目指す中期経営計画がスタートし、SDGsの他にもパリ協定など国際社会の動向をふまえてグループCSR重点課題の見直し。2018年には「2017年度比で2030年度までに 21%削減、2050年度までに51%削減」とする新たな温室効果ガス排出量の中長期削減目標を設定し、気候変動の緩和に取り組んでいます。

このように、ESGやサステナビリティ領域は国際組織の新たな提唱や協定の締結によって目標の見直しが迫られる機会が多く、迅速対応できる組織体制を敷いていることで都度適切に目標の再設定を行えていることがSOMPOの強みであると言えます。

グループ別や職場別の目標策定

各職場では毎年「 CSR実施計画表」を策定し、年初実施計画、上半期総括、年度末総括を行い、PDCAを回すことで、取組みの改善・加速につなげています。

さらに各職場のCSR計画の適切な実行のために、以下のような仕組みが導入されています。

  • 対話重視の内部監査を実施し、各職場の特性に応じたCSR推進の働きかけ
  • CSR計画の運用・管理状況について定期的に経営側からのレビュー

各種イニシアチブへの積極的な参加

SOMPOはサステナビリティやESGを推進する各種イニシアチブに積極的に参加しています。

代表的なものとしては、ESGの発端となるPRI(責任投資原則)です。この原則は2006年に国連から提唱された投資原則で、投資判断基準にESGを組み入れるべきだと初めて提唱されたもので、SOMPOホールディングスは日本の保険会社として初めてこのPRIに署名しています。

他にも国連の持続可能な保険原則(PSI)の起草に参画し、2012年6月にブラジル・リオデジャネイロで開催された「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」における正式発表において原則の推進に向けた意志表明を行い、署名しました。

SOMPOホールディングスが統合報告書にまとめている主なイニシアチブ参画活動とその時期は以下の通りとなっています。

出典:SOMPOホールディングス統合レポート2020

SOMPOHDのESGへの具体的取り組み(E:環境)

葉, 緑, 緑の葉, グリーン リーフ, 自然, 植物, 春, ツリー, 植物学, 生態学, 夏, 庭, 水滴

次に、ESGの3要素の一つであるEnvironment(環境)について見ていきましょう。

東洋経済新報社のESG企業ランキングにおいて、SOMPOの環境の得点は100点でトップとなっており、日本で最も環境問題に取り組んでいる企業であると言えます。

温室効果ガス排出量の抑制

SOMPOではCO2の削減を環境への取り組みの主軸として行なっています。

直近3年のCO2排出量とその原因となる各燃料の使用量を表にしたものが以下になります。なお、CO2排出量はスコープ1(直接排出量)、スコープ2(エネルギー起源間接排出量)、スコープ3(その他の間接排出量)と分類し、それぞれの数値も算出しています。

項目単位2017年度2018年度2019年度
GHG排出量(スコープ1)t-CO221,19521,13418,645
GHG排出量(スコープ2)t-CO275,74670,04864,584
GHG排出量(スコープ3)t-CO281,64181,34480,408
GHG排出量(スコープ1~3)合計*1t-CO2178,581172,527163,637
1人当たりCO2排出量t-CO22.742.652.63
都市ガス使用量m3-N1,770,7041,694,0111,548,876
A重油使用量kℓ186163195
灯油使用量kℓ157115197
LPG使用量t46214114
社有車の燃料使用量kℓ7,0136,9125,976
出典:SOMPOホールディングスコーポレートサイト「主要ESGデータ」

この表から分かる通り、総おいても各スコープにおいても年々排出量の削減に成功しており、広範囲にわたってCO2削減の取り組みが推進されていることがわかります。

また、CO2排出量の算出は認証機関による第三者検証を毎年受けることで透明性を担保しています。

またSOMPOは2018年に、CO2排出量をグループ全体で、2030年までに2017年度比21%削減、2050年度までに51%削減という中長期目標新たにを設定しており、今後CO2削減の流れはますます加速していくものと思われます。

事業を通した再生可能エネルギー普及の促進

SOMPOグループは、エネルギー転換が脱炭素社会に向けて重要な役割を担うとの認識のもと、再生可能エネルギー の普及を後押しする事業や取組みを進めています。

通常の損害保険商品の提供に加え、大学や研究機関などのステークホルダーとの共同研究により得られたノウハウを活用し、風力発電事業のプロジェクト組成から運転開始、その後の撤去またはリプレイスに至る すべてのプロジェクトフェーズを対象として、 風力発電事業に関わるバリューチェーン全体へのリスクマネジメントサービスを展開しています。

環境の側面からの社会貢献活動

温室効果ガスの排出量削減のような環境への直接貢献の他にも、人々が環境に興味を持つきっかけを与えるような間接的な社会貢献活動も行なっています。以下では代表的なものを2つご紹介します。

CSOラーニング制度

SOMPOでは、プログラムを通じて環境問題や社会問題に貢献できる人材の輩出にも力を入れています。その代表的なものがCSOラーニング制度です。

 CSOラーニング制度はSOMPOが運営する環境財団が実施するプログラムで、大学生・大学院生を対象に、環境分野のCSO(Civil Society Organization:市民社会組織、NPO/NGO をまとめた総称)で 8 か月間のインターンシップを体験できるというものです。

この制度では、2019年度末までに1,124名が修了しています。2019年2月からは、新たにインドネシア・ ジャカルタでプログラムをスタートし、10月に第1期生19名が修了しました。2020年2月から第2期生が活動を開始しています。

SAVE JAPANプロジェクト

地域の環境団体やNPOと協働し、全国で市民参加型の生物多様性保全活動を行うSAVE JAPAN プ ロジェクト」を毎年展開しています。

地域住民の方に環境保全活動に参加するきっかけを提供することを目的に実施しており、ご契約時のWEB約款・WEB証券や、自動車事故時のリサイクルパーツの選択によって削減したコストが活動原資となっています。

2019年度末までに約850回イベントが開催され、約45,000名以上の方が参加しています。

事業を通した世界の農業支援

SOMPOは業界をリードするグローバルな保険会社として、農業保険・農業再保険の統合プラットフォーム『AgriSompo』を通じた革新的な商品と、農作物の収穫におけるリスクソリューションを世界各地の農業関係者に提供することで、食料・農業分野における持続可能性に貢献しています。

『AgriSompo』では、農家・農業事業者・その他関連事業者に対し、干ばつ・洪水・その他農業に関する自然災害を包括的に補償しています。

依然として十分な食料が確保できない地域もあり、また、自然災害の発生により多くの農業従事者が経済的に困窮しやすい状況の中、『AgriSompo』では気候変動リスクの緩和に努めるとともに、自然災害により最も大きな被害を受ける農業従事者の経済的な影響を軽減できるよう支援しています。

SOMPOHDのESGへの具体的取り組み(S:社会)

同意します, 契約, アジア, ブラック, ビジネス, コマース, 協力, 企業, 意思決定, 障害者, 医師

続いて、Social(社会)領域でのESG活動についてです。

2010年11月に発行された社会的責任の国際規格ISO26000においても、「人権」が7つの中核主題のうちの一つとしてあげられ、人権を尊重した企業活動はいまや“世界の潮流”となっています。

ここではSOMPOが行なっている人権尊重活動を中心に、各取り組みについてみていきます。

人権尊重の体制構築

組織の設置から相談口の設置、教育の実施まで、以下のような幅広い活動を通して社内の人権尊重体制を構築しています。

  • 2019年6月に世界の最新情勢も踏まえ、グループ共通の「グループ人間尊重ポリシー」を「取引先や協業先、委託先等のパートナー企業における人権尊重」と「人権リスクへの対応態勢」を明記した内容に改定
  • 「人間尊重推進本部」を設置し、人権をはじめとする基本的行動規範の啓発などの諸問題への取組みの推進組織とする
  • 社員の相談専用窓口を設置し、電話やメール、文書などにて個別相談を受付
  • 「CSR研修(全般・人権)」を全社員・全職場を対象に毎年実施し、人間尊重に向けた社員の相互理解の推進

ダイバーシティの推進

上記のような体制を構築した上で、SOMPOは社員の多様性推進に力を入れています。

お客さまのニーズに幅広くお応えして安心・安全・健康に資する最高品質のサービスのご提供を目指し、当社はダイバーシティを経営戦略と位置づけて2013年10月にダイバーシティ推進本部を設置しています。

また、ダイバーシティを力に変えて成長に結びつけるという意を込めスローガンを「Diversity for Growth」とし、多様な人材の共生を実現する「働き方改革」や働く力の源泉である社員の健康保持・増進にもこのダイバーシティ推進本部を主体としてグループ全体で取り組んでいます。

特に取り組んでいるのは女性と障害者の活躍推進です。それぞれ具体的に見ていきましょう。

女性活躍の推進

SOMPOでは、2020年末までのグループ全体女性管理職比率の目標を30%以上と設定して女性社員の知識・スキル向上、意識・マインド変革にむけて女性育成プログラムを実施しているほか、グループ各社で独自のプログラムも実施しています。

これらの取組みの結果、目標数値を定めた2013年7月時点ではグループ全体で女性管理職数は305名、管理職に占める女性比率は5.0%でしたが、以下のように2019年度の女性管理職数は906名、管理職に占める比率は23.8%まで上昇しています。

出典:SOMPOホールディングス統合報告書2020

また、上記のプログラムを通して、2020年4月時点において、損保ジャパンでは、女性の取締役1名、執行役員1人と部店長12人、SOMPOひまわり生命保険では執行役員4人と部店長1人を登用しています。

SOMPOの女性活躍推進の取り組みは社外からの評価も非常に高く、当社は経済産業省および東京証券取引所が女性活躍推進に優れた上場企業を「中長期の企業価値向上」を重視する投資家に魅力ある銘柄として紹介する「なでしこ銘柄」に、3年連続で選定されています。

その他受賞記録は以下の通りです。

  • 2014年3月:経済産業省「ダイバーシティ経営企業100選」受賞
  • 2015年1月:東京証券取引所「企業行動表彰」受賞
  • 2016年12月:内閣府「女性が輝く先進企業表彰」内閣総理大臣表彰受賞
  • 2018年4月:公益財団法人日本生産性本部 第3回「女性活躍パワーアップ大賞」大賞受賞
  • 2018年11月:東京都「時差Biz推進賞(ワークスタイル部門)」受賞(2017年度から連続)
  • 2020年3月:経済産業省・東京証券取引所「健康経営銘柄2020」選定(2018年度から連続)
  • 2020年3月:経済産業省・東京証券取引所「令和元年度なでしこ銘柄」選定(2017年度から連続)

さらに、近年は女性の就業を支援するさらなる取り組みも行なっています。

2018年3月には、新宿本社ビル内に企業内保育所『SOMPO KIDS PARK(そんぽきっずぱーく)』を開設しています。当保育所の開設により、待機児童問題に直面する従業員の就業継続を支援し、いきいきと働き続けることができる体制の構築を目指しています。

障害者の雇用促進

SOMPOグループは、障がい者の職業生活における能力発揮・自己実現の場を安定的に提供するとともに、障がい者の持つ多様性を当社グループの成長に欠かせないイノベーションに活かすことを目指し、障がい者雇用促進に取り組んでいます。

損保ジャパンでは、管理職向けマニュアルを提供し、また全国に障害者職業生活相談員を配置し、障がいのある社員の相談対応と働きやすい職場づくりのためのサポート等を行う体制を整えています。

また、グループ全体における障がい者安定雇用のさらなる推進と障がい者がいきいきと働ける環境づくりを目的に2018年4月に特例子会社*「SOMPOチャレンジド」を設立しています。

(特例子会社とは、「障害者の雇用の促進等に関する法律」に定める一定の要件を満たし厚生労働大臣の認定を受けた、障がい者の雇用に特別な配慮をした会社のこと)

SOMPOチャレンジドは、当社グループの障がい者雇用を牽引する役割も担っています。

SOMPOHDのESGへの具体的取り組み( G:ガバナンス)

詐欺, 犯罪, 手, セキュリティ, 安全性, 不動産, 家, ホーム, 分離, ロック, 保護, 金属

続いてはガバナンスです。ESGに積極的に取り組んでいる企業の中でもガバナンス領域の取り組みは後回しにされやすいという特徴がありますが、SOMPOはガバナンス領域でも様々な取り組みを行っています。

ガバナンスのための組織構築

企業不祥事は組織構成による不透明性が原因になることが多く、ガバナンスへの取り組みを進めていく上で組織構築は非常に重要になってきます。ここではSOMPOの組織構築の取り組みを紹介します。

取締役の外部比率の確保

出典:SOMPOホールディングス統合レポート2020

ガバナンスの取り組みの代表的なものに、社外の監査役や取締役の選任があります。

 SOMPOでは表のように、2010年からさらに割合を増し、現在社外取締役比率75%を確保しています。比較対象として東証一部をあげると、1/3以上の社外取締役を選任する企業は43.6%にとどまっており、さらに75%は上場企業の中でも最高水準にあると言えます。

指名委員会等設置会社への移行

sompoグループは設立以来、監査役会設置会社でありながら任意の指名・報酬委員会等を有するハイブリッド型の会社機関設計でしたが、2019年に指名委員会等設置会社へ移行することを決定しました。

この変革によって経営の監督と業務執行を分離し、立場と役割を明確化することで両機能のさらなる強化が図られる体制が整備されました。

新体制下の取締役会は社外取締役を中心に構成されており、また、新たに設置された指名・監査・報酬の法定三委員会ではいずれも社外取締役が委員長を務めています。

この新体制により、高い透明性と公正性の向上を実現していく統治体制が構築されています。

各種情報の開示

ガバナンス体制を構築以下では、SOMPOが行なっている開示の内容や方法についてご紹介します。

役員の報酬の開示

SOMPOでは、報酬総額が1億円を超える役員の報酬額開示を行なっており、5名の役員の報酬総額とその内訳をコーポレートサイトで確認することができます。

投資家・ステークホルダーへの説明・対話

SOMPIでは投資家やステークホルダーに向けての説明会やミーティングの機会を多く設けています。

以下がその内訳となっており、全てを合計するとその回数は300回近くにも上ります。

説明会回数
機関投資家・アナリスト向け説明会(IRミーティング)2回
機関投資家・アナリスト向け電話会議2回
証券会社主催カンファレンス3回
個別ミーティング274回
個人投資家向け説明会8回
出典:SOMPOホールディングス「主要ESGデータ」

高い頻度で説明会や対話の機会を設けることで、投資家側からは不明瞭な問題の解決や最新情報へのキャッチアップをする機会が多く与えられ、それがガバナンスの信頼につながっています。

コンプライアンス教育の実施

グループ社員に対してコンプライアンス教育を実施し、ガバナンスのリテラシー・マインド向上に努めています。コンプライアンス教育実施率は2019年度には96.4%まで上昇しています。

項目単位2017年度2018年度2019年度
コンプライアンス教育の実施状況%91.7%90.5%96.4%
出典:SOMPOホールディングス「主要ESGデータ」

SOMPOHDのESGへの具体的取り組み(ESG投資)

SOMPOホールディングスは保険事業を行う会社なので、資金の運用方法からESGに取り組むこともできます。ESG投資の側面から行われているESG活動をご紹介します。

投資先のESGスクリーニング

SOMPOは投資対象をESGの観点に基づきスクリーニングすることで、ESGに貢献する資産運用を行なっています。

例としては、環境に配慮した再生可能エネルギー発電事業を対象とした投融資を行うことにより、温室効果ガスの削減や低炭素経済への移行の促進に貢献しています。

また海外の優良な運用会社の商品を日本向けに導入する際も、これらの外部委託プロダクトについて、ESG方針や推進体制、実施状況などについてSOMPOで独自に評価するとともに、採用後も定期的にモニタリングを行うことで、ESG貢献度を勘案しています。

このスクリーニングによって、外部委託プロダクトの約8割がESG投資(2020年3月時点)となっています。また、外部委託先のうち90%以上が責任投資原則(PRI)に署名しています(残高ベース)。

またこれらのポジティブ・スクリーニングの一方で、特定の投資対象には投資を行わないとするネガティブ・スクリーニングも実施しています。

代表的なものとして、SOMPOは日本国内の石炭火力発電所の新規建設に関する保険引受・投融資は原則として行わないと発表しています。

また原則として投資を禁じる領域の他にも、環境負荷や代替手段の有無を調査した上で慎重に検討すべき投資対象、として以下を定めています。

分類対象事業
環境■ユネスコ世界遺産保護条約違反
条約で保護対象となる自然・文化遺産を破壊するとされる事業
■ラムサール条約違反
保護対象となる湿地(国内には52か所)を破壊するとされる事業
■過度に環境負荷の高い石炭火力発電
国際的に批判が集まっている発電所建設事業
■過度に環境負荷の高い炭鉱採掘事業
国際的に批判が集まっている採掘事業
社会■人権侵害
児童労働、強制労働が行われている事業
■非人道兵器
対人地雷、生物兵器・化学兵器、核兵器に関する事業
出典:SOMPOホールディングスコーポレートサイト「SOMPOグループの事業におけるESG配慮」

ESG専門組織・人材の設置

SOMPOアセットマネジメントでは2017年4月より、スチュワードシップ活動(サステナビリティを目指して投資先と行われる対話活動)を含む責任投資を推進していく組織として「責任投資推進室」を新設するとともに、専任の「ESGスペシャリスト」を新たに配置しています。

今後はESGスペシャリストの活動を通じて責任投資の取組みを一層強化していくとともに、PRIをはじめとする国内外の関連イニシアティブにこれまで以上に積極的に参画するという方針を定めています。

目的別ファンドのの設立

SOMPOアセットマネジメントでは、環境などのテーマや対象顧客別に、目的別のファンドを設立し運用しています。

代表的なものとしては損保ジャパン・グリーン・オープンがあります。これは個人投資家向けの環境関連ファンドの一つであり、企業の環境問題への取組み状況と投資価値の両面から分析して評価の高い銘柄に投資しています。2020年3月末時点の純資産残高は約260億円と、日本最大級のESGファンドです。

その他にも機関投資向けの「サステナブルファンド」や「グリーンファンド」といったESGファンドと、個人向けのSRIファンドを合計すると、2020年3月末時点での純資産残高は約1,280億円になります。

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