ガバナンスとは?ESGのGへのアプローチ事例をまとめて紹介

Governance(ガバナンス)
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企業経営に取り組んでいる方や投資家の方は、近年ESGに取り組むことの重要性が高まっているのを感じているのではないでしょうか。

今回はESGをなす3つの要素のうち、 G(Governance)に当たる企業統治を意識した経営について、それが重要な理由や、実際の企業の取り組み事例をお話ししていきます。

ESGとは?

Governanceにアプローチする取り組みについて知る前に、まずはESGの意味を理解しておきましょう。

ESGとは、三つの単語「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(ガバナンス)」の頭文字をとってできた言葉です。

これらの3ポイントを意識した経営をする「ESG経営」、ESG経営をしている企業に投資する「ESG投資」などの文脈で使われます。

まずESGについてもっと詳しく知りたい、ESG経営が注目される理由が知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

ESGのG(ガバナンス)とは?

それではESGのGにあたる「ガバナンス」とは一体どういう意味なのでしょうか。

一般的にガバナンスは「集団や組織の統治・支配・管理」の意味で使われます。Governという「統治する、支配する、管理する」という動詞から派生している名詞です。

企業を主体とした時のガバナンスは別名「コーポレート・ガバナンス」とも呼ばれ、透明・公正な経営を行うための仕組みを作る行為を指します。

具体的な取り組みとしては、以下のような施策がガバナンスにあたります。

  • 内部統制の構築・強化
  • 第三者視点での監視体制の構築
  • コーポレートガバナンスの社内への浸透

ガバナンスとコンプライアンスの違い

ガバナンスと混同されやすい言葉として、コンプライアンスがあります。

コンプライアンスは日本語で法令遵守という言葉になりますが、企業が法律や社会規範に違反せずに規則を守ることを意味します。

一方でガバナンスは、企業が法律を違反しないような管理体制を作る行為を指します。つまり、ガバナンスがしっかりとできていればコンプライアンスは自ずと守られるということです。

ガバナンスに取り組むべき理由

近年ESGにと取り組む企業に投資を行うESGが主流となりつつありますが、その中でもガバナンスは特に重要であると言われています。

Russel社の調査結果によると、投資家がESGの3項目のうち最も重視するのはガバナンスで、その割合は82%であるとわかりました。それほどガバナンスへの取り組みは大きな比重を占めているということです。

参考:2020 Annual ESG Survey

ではなぜ、ガバナンスに取り組むことはそれほど重要視されているのでしょうか。

長期的な企業価値向上につながるから

その理由は、ガバナンスに取り組むことが企業のリスクを低減し、安定的で長期的な企業価値向上に繋がると考えられているからです。

企業内統治が脆弱なことで、内部不正が起こっている企業は一定数存在します。そして不正が発覚することで株価が暴落して大打撃を受けた企業の事例は後を絶ちません。

近年の例だとおよそ二年前、日産のカルロス・ゴーン氏が金融商品取引法違反で逮捕されたことによって、日産の株価は大暴落しました。

このことからわかるように、ガバナンスが弱いことは、企業価値を一気に暴落させるリスクをはらんでいます。

すなわちガバナンスに取り組むことが長期的に安定成長するために不可欠であると考えられるようになったのです。

さらに国連がPRI(責任投資原則)を発信したことをきっかけに、世界の投資家全体にESGという考え方が広まったことも、ガバナンスが重要になったきていることの一因といえるでしょう。

2016年時点で、世界の総投資額の内ESG投資が占める割合は34.7%にも上っています。ガバナンスを含めたESGに取り組んでいることが、企業のリスクヘッジだけでなく資金を集めるようにまでなってきているのです。

ESGのG(ガバナンス)の取り組み事例

ここからは、ESGへの取り組みを積極的に進めている代表的な企業の、ガバナンスへの取り組み事例を紹介します。

セブン銀行

セブン&アイホールディングスグループの一員で銀行事業を展開するセブン銀行は、ESGへの取り組みを公表する専用ページを作成し、様々な取り組みを行っています。

ガバナンス面に関しては、一例として以下の取り組みを行っています。

  • 社外取締役・社外監査比率の担保・公表
  • 役員の選出理由や役員報酬決定方法の公表
  • コンプライアンスマニュアルの制定と従業員による定期的な読み合わせ
  • リスクに関する基本方針の制定

特に取締役や監査役の透明性に関しては詳細に公開しており、コーポレートガバナンスに関する専用の報告書も作成し、公開しています。

キャノン

カメラをはじめとしたデジタル機器の大手メーカーであるキャノンも、ホームページにESG専用ページを作り、コーポレートガバナンス体制の変遷とともに現在の取り組みを公開しています。具体的には、以下のような取り組みを公開しています。

  • 取締役・監査役の社外比率の公開
  • 役員の選出理由の公開
  • 取締役会の実効性の定期評価とそれに基づく体制の改善

ガバナンスは後回しにされやすい

投資家からガバナンス対策の期待はかかる一方で、企業の実際を見てみると他の2要素に比べてあまり対策されていないのが現状です。

ESGへの取り組みが高く評価されている企業の中でも、項目別に見た時にガバナンスのみ低評価を受けている企業は一定数存在します。

その理由は、環境や社会に比べて具体的な対策をイメージしにくいこと、そして事例でも紹介したように社内全体の組織改革になるため、従来の業務と切り離して単発で勧めにくいことなどが挙げられます。

しかしそれは、コストをかけて取り組めば他社に比べて透明性のある企業として差をつけることができる、ということでもあります。

具体的な取り組みに落とし込んでそれを公開することは可能です。自社の取り組みへの糸口を見つけて、是非ガバナンスに取り組んでみてください。

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