国連が採択したことで、ここ数年で急に聞くようになった「SDGs」という言葉。実はその中身がよくわかっていない、という人も多いのではないでしょうか。
SDGsは今後社会活動や企業活動をしていく上で重要になる声明です。
この記事ではSDGsという言葉の意味とその中身をなす17つの〜〜、ESGとの関係性について解説していきます。
SDGsとは?

SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。アルファベット4文字で、エスディージーズと読みます。
SDGsは2015年に国連サミットで採択されたもので、2030年までの1年間において国連加盟国全体で達成すべき目標を定めたものです。
SDGsは大枠となる17の目標と、各目標を達成するための具体的な169のターゲットで構成されています。
SDGsの17の目標
SDGsの大枠となる、17の目標を要約したものが以下の図になります。

世界全体の持続性維持のために取り組むべき項目がこの17の目標で網羅されていますが、各国の状況などによって取り組むべき比重は変わってきます。
ここからは17の目標を6つずつに分けて、大まかにそれぞれのポイントを見ていきましょう。

最初の6項目を見ると、貧困・飢餓や教育といった、主に発展途上国に対しての支援が中心になっています。
一方で日本でも貧困の定義に当てはまる子どもは7人に1人ですし、ジェンダー平等に関しては他国に比べて低い水準であり、先進国にも多くの内容が十分あてはまるので、比重の差はあれど各項目先進国も取り組みを進めるべきであるといえます。

中盤の7〜12ではエネルギー、産業、生産と消費など、経済成長に直接かかる項目が増えてきます。国の成長段階に関係なくすべての項目が重要になってくると言えるでしょう。
発展途上国の目線からは、先進国の技術を取り入れて基礎的な産業の発展やエネルギーの供給確保を行う活動が中心になってきます。一方先進国では、技術投資を行い世界の経済活性を強めていくような、世界を牽引する役割が求められています。

後半の項目は気候や海洋、陸の豊かさといった、国の枠組みを超えた世界全体における包括的問題となってきます。
他の項目に比べ、先進国と発展途上国の利害衝突が発生しやすい目標項目が多いため、国家間の連携が重要となってくる項目であるといえます。
SDGsの169のターゲット
SDGsに定められている17の目標は抽象的であり、具体的にどのようなことに取り組めばいいかのイメージがつきにくいと思います。
そこでSDGsでは各項目ごとにさらに具体的なターゲットを定めています。ターゲットの数は、17つの項目それぞれのものを合わせて169個になります。
17の目標の一つ目「貧困をなくそう」に該当するターゲットは以下の通りです。
ターゲット | |
1.1 | 2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。 |
1.2 | 2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、全ての年齢の男性、女性、子供の割合を半減させる。 |
1.3 | 各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030年までに貧困層及び脆弱層に対し十分な保護を達成する。 |
1.4 | 2030年までに、貧困層及び脆弱層をはじめ、全ての男性及び女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地及びその他の形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する。 |
1.5 | 2030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に暴露や脆弱性を軽減する。 |
1.a | あらゆる次元での貧困を終わらせるための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの相当量の資源の動員を確保する。 |
1.b | 貧困撲滅のための行動への投資拡大を支援するため、国、地域及び国際レベルで、貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを構築する。 |
このように、各目標に対して具体的に取り組むべきことが示されています。
169のターゲット全てが知りたいという方は、以下の記事をご覧ください。
ターゲットの中には数値目標まで設定されているものもありますが、その多くは「〜を改善する」のような定性的な表現が使用されています。
そこで、ターゲットの進捗を評価するために、2017年の国連総会で全244の指標が採択されています。
各ターゲットに対しての指標の対応は総務省のホームページに記載されています。
SDGsとESGの違いは?

ESGとは、「環境」「社会」「ガバナンス」の頭文字をとってできた言葉で、企業が持続的成長をしていく上で取り組むべき三項目として広く知られています。
SDGsとESGは非常に近い概念であると言えそうですが、その違いはどこにあるのでしょうか。
SDGsは「目標」であり、ESGは「手段」である
あえて両者の違いを表すとするならば、前述した通りSDGsは、世界全体で目指すべき「目標」であり、ESGは特に企業がSDGsの目標を達成するために取り組む「手段」だと言えます。
例えば企業がESGのE(環境)に注力するためにプラスチック製のストローを廃止し、紙製のストローを導入する活動を実施した際、それはSDGsでいう13番目の目標「気候変動に具体的な対策を」を達成するための一手段となります。
ESGは「投資」の文脈で使われることが多い
また、SDGsは広い人々が使用する言葉なのに対し、ESGは主に投資の文脈で使用されることが多いです。
近年ESGに取り組む企業は長期的で持続的な成長が見込めるという考え方が一般的になり、投資家に支持されやすくなっています。
投資家目線でも、ESG経営を行う企業に投資することで、間接的にSDGsの達成に貢献することができます。
ESGに関して詳しく知りたい方は、以下のページを参照ください。
ESGに取り組むことでSDGsに貢献可能
今回紹介したSDGsは世界全体の目標であるが、1企業がESGに取り組むことでSDGsに貢献することが可能です。
また、 ESGへの取り組みが評価されてESG投資が活発になっている点でも、 SDGsを適切に理解してその達成に貢献するESG活動は企業にとってメリットが大きいものであると言えます。