世界幸福度ランキングとは?

世界幸福度ランキングは、対象国の各国民が自身の幸福度を1から10の10段階で自己評価した際の平均値をランキングにしたものです。
国連持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN)が発行しているもので、2012年に第1回が発表されてから各年のランキングが発表されており、2020年の発行で9回目となります。最新の2020年版では153カ国・地域が対象となっており、1位から153位までの順位が発表されています。
世界幸福度ランキングの基準

世界幸福度ランキングは、各国の国民に主観的な幸福度を10段階で評価してもらったものの国別平均値で順位が決定します。
また、この調査とは別に、各国の世論調査より算出した以下の6つの説明変数で回帰分析を行い、各項目が幸福度にどの程度寄与しているのかも分析しています。
- 人口あたりのGDP
- 社会支援の充実度
- 健康寿命
- 人生における選択の自由度
- 社会における寛容度
- 腐敗に関する認識度
世界幸福度ランキング

2020年3月20日に、最新の世界幸福度ランキングが発表されました。
首位は3年連続でフィンランドで、上位は例年通り北欧諸国が独占する形となりました。
G7諸国では、カナダ11位、英国13位、ドイツ17位、米国18位、フランス24位、イタリア30位。一方、日本は62位と、G7の中では最下位という結果に終わっています。
この日本の順位は2018年の54位、2019年の58位からさらに4位後退しており、年々順位を下げています。
1位から153位の各国の順位と幸福度は以下の通りとなっています。
順位 | 国名 | 幸福度 (10段階) |
1 | フィンランド | 7.809 |
2 | デンマーク | 7.646 |
3 | スイス | 7.560 |
4 | アイスランド | 7.504 |
5 | ノルウェー | 7.488 |
6 | オランダ | 7.449 |
7 | スウェーデン | 7.353 |
8 | ニュージーランド | 7.30 |
9 | オーストリア | 7.294 |
10 | ルクセンブルグ | 7.238 |
11 | カナダ | 7.232 |
12 | オーストラリア | 7.223 |
13 | イギリス | 7.165 |
14 | イスラエル | 7.129 |
15 | コスタリカ | 7.121 |
16 | アイルランド | 7.094 |
17 | ドイツ | 7.076 |
18 | アメリカ | 6.940 |
19 | チェコ | 6.911 |
20 | ベルギー | 6.864 |
21 | アラブ首長国連邦 | 6.791 |
22 | マルタ | 6.773 |
23 | フランス | 6.664 |
24 | メキシコ | 6.465 |
25 | 台湾 | 6.455 |
26 | ウルグアイ | 6.440 |
27 | サウジアラビア | 6.406 |
28 | スペイン | 6.401 |
29 | グアテマラ | 6.399 |
30 | イタリア | 6.387 |
31 | シンガポール | 6.377 |
32 | ブラジル | 6.376 |
33 | スロベニア | 6.363 |
34 | エルサルバドル | 6.348 |
35 | コソボ | 6.325 |
36 | パナマ | 6.305 |
37 | スロバキア | 6.281 |
38 | ウズベキスタン | 6.258 |
39 | チリ | 6.228 |
40 | バーレーン | 6.227 |
41 | リトアニア | 6.215 |
42 | トリニダード・トバゴ | 6.192 |
43 | ポーランド | 6.186 |
44 | コロンビア | 6.163 |
45 | キプロス | 6.159 |
46 | ニカラグア | 6.137 |
47 | ルーマニア | 6.124 |
48 | クウェート | 6.102 |
49 | モーリシャス | 6.101 |
50 | カザフスタン | 6.058 |
51 | エストニア | 6.022 |
52 | フィリピン | 6.006 |
53 | ハンガリー | 6.000 |
54 | タイ | 5.999 |
55 | アルゼンチン | 5.975 |
56 | ホンジュラス | 5.953 |
57 | ラトビア | 5.950 |
58 | エクアドル | 5.925 |
59 | ポルトガル | 5.911 |
60 | ジャマイカ | 5.890 |
61 | 韓国 | 5.872 |
62 | 日本 | 5.871 |
63 | ペルー | 5.797 |
64 | セルビア | 5.778 |
65 | ボリビア | 5.747 |
66 | パキスタン | 5.693 |
67 | パラグアイ | 5.692 |
68 | ドミニカ共和国 | 5.689 |
69 | ボスニアヘルツェゴビナ | 5.674 |
70 | モルドバ | 5.608 |
71 | タジキスタン | 5.556 |
72 | モンテネグロ | 5.546 |
73 | ロシア | 5.546 |
74 | キルギス | 5.542 |
75 | ベラルーシ | 5.540 |
76 | 北キプロス | 5.536 |
77 | ギリシャ | 5.515 |
78 | 香港 | 5.510 |
79 | クロアチア | 5.505 |
80 | リビア | 5.489 |
81 | モンゴル | 5.456 |
82 | マレーシア | 5.384 |
83 | ベトナム | 5.353 |
84 | インドネシア | 5.286 |
85 | コートジボワール | 5.233 |
86 | ベナン | 5.216 |
87 | モルディブ | 5.198 |
88 | コンゴ共和国 | 5.194 |
89 | アゼルバイジャン | 5.165 |
90 | マケドニア | 5.160 |
91 | ガーナ | 5.148 |
92 | ネパール | 5.137 |
93 | トルコ | 5.132 |
94 | 中国 | 5.124 |
95 | トルクメニスタン | 5.119 |
96 | ブルガリア | 5.102 |
97 | モロッコ | 5.095 |
98 | カメルーン | 5.085 |
99 | ベネズエラ | 5.053 |
100 | アルジェリア | 5.005 |
101 | セネガル | 4.981 |
102 | ギニア | 4.949 |
103 | ニジェール | 4.910 |
104 | ラオス | 4.889 |
105 | アルバニア | 4.883 |
106 | カンボジア | 4.848 |
107 | バングラディッシュ | 4.833 |
108 | ガボン | 4.829 |
109 | 南アフリカ | 4.814 |
110 | イラク | 4.785 |
111 | レバノン | 4.772 |
112 | ブルキナファソ | 4.769 |
113 | ザンビア | 4.751 |
114 | マリ共和国 | 4.729 |
115 | ナイジェリア | 4.724 |
116 | アルメニア | 4.677 |
117 | ジョージア | 4.673 |
118 | イラン | 4.672 |
119 | ヨルダン | 4.633 |
120 | モザンビーク | 4.624 |
121 | ケニア | 4.583 |
122 | ナミビア | 4.571 |
123 | ウクライナ | 4.561 |
124 | リベリア | 4.558 |
125 | パレスチナ地区 | 4.553 |
126 | ウガンダ | 4.432 |
127 | チャド | 4.423 |
128 | チュニジア | 4.392 |
129 | モーリタニア | 4.375 |
130 | スリランカ | 4.327 |
131 | コンゴ民主共和国 | 4.311 |
132 | エスワティニ | 4.308 |
133 | ミャンマー | 4.308 |
134 | コモロ | 4.289 |
135 | トーゴ | 4.187 |
136 | エチオピア | 4.186 |
137 | マダガスカル | 4.166 |
138 | エジプト | 4.151 |
139 | シエラレオネ | 3.926 |
140 | ブルンジ | 3.775 |
141 | ザンビア | 3.759 |
142 | ハイチ | 3.721 |
143 | レソト | 3.653 |
144 | インド | 3.573 |
145 | マラウィ | 3.538 |
146 | イエメン | 3.527 |
147 | ボツワナ | 3.479 |
148 | タンザニア | 3.476 |
149 | 中央アフリカ共和国 | 3.476 |
150 | ルワンダ | 3.312 |
151 | ジンバブエ | 3.299 |
152 | 南スーダン | 2.817 |
153 | アフガニスタン | 2.567 |
世界幸福度ランキング上位国と下位国の特徴

最新の2020年版の幸福度ランキング上位を見てみると、1位フィンランド、2位デンマーク、3位スイス、4位アイスランド、5位ノルウェーと北欧諸国が占めていることがわかります。
北欧諸国の特徴としてあげられるのは、社会保障制度の充実です。このことから、充実した社会基盤が幸福度に強く寄与していると考えることができます。
さらに世界幸福度ランキングで3年連続第1位に輝いているフィンランドについての書籍「フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか」で紹介されているフィンランドの特徴としては、以下が挙げられます。
- 1人あたりのGDPは日本の1.25倍
- 世界トップクラスの教育
- 残業なしで、午後4時には帰宅
- 夏休みは1か月
- 男性の8割が育休を取得
- 1日2回のコーヒー休憩が法律で定められている
フィンランドは課税率が高い代わりに上記のように社会保障を充実させ、さらに医療や教育まで含めた公共サービスや、福祉のすべてを国が負担しています。生活保証レベルの高さがフィンランド人の生活にゆとりや自由を与え、それが幸福度につながっていると考えることができます。

また、幸福度を上げる要因として「自由」の寄与する割合は非常に大きいと言えます。
イギリスでは過去に以下のような調査が行われています。第一種(専門職)から第五種(単純労働)まで5段階に職種を分けて生活満足度を調査しところ、第一種(専門職)の満足度が第五種(単純労働)の生活満足度を10段階で0.5ポイント上回っていました。
この差は専門職になるに応じて上がる給与水準によるものもありますが、専門性の上昇による自由度の増加も大きいと言われています。
例として単純労働の清掃員は自分で勤務時間などを決められないという点で自由度が低い一方で、経営者などの専門性の高い人は自身の選択権の幅が広がり、自分で出社・退社時間を決めたりと自由度が上昇します。
社会保障の充実や、教育レベルを高めることでの労働者の専門性の上昇、そこからつながる生活の自由度が、今後の幸福度を上げていくのには重要であると言えます。
日本の幸福度が年々下がる原因

昨年(2020年)の調査結果では、日本は62位でした。2012年に初めて世界幸福度ランキングが発表された時の44位から2013年に43位と一つ順位を上げて以降、年々順位を切り下げています。
日本の順位が他の主要国に比べて低い原因はどこにあるのでしょうか。回帰分析が行われている各項目別の日本の順位は以下のようになっています。
- 人口あたりのGDP:24位
- 健康寿命:2位
- 人生における選択の自由度:64位
- 社会における寛容度:92位
- 腐敗に関する認識度:39位
項目ごとの順位に着目すると、「健康寿命」や「人口あたりのGDP」は健闘している一方で「選択の自由度」「寛容度」はランキングが低迷する要因となっていることがわかります。それぞれの項目について見ていきましょう。

まず「選択の自由」に寄与するものの一つとしては、休暇に対しての認識があります。
日本での大型連休は年末年始とGWの二回がありますが、いずれもだいたい1週間程で、すべての企業・社員に対して最低でも4週間の休暇を取ることが法律で義務づけられているEU加盟国に比べて圧倒的に少ないです。
さらに旅行会社のエクスペディアの調査によれば、日本人の有給休暇取得率は50%で、3年連続の最下位となっています。これらの休暇に対してシビアな国民意識に加え、ブラック企業による休日出勤や無報酬残業、上司からの圧力などの部分にも自由度の低さ、ひいては不満を感じる人は多いと言えます。
また、働き方や時間の使い方の自由のみならず、表現の自由が小さいことも「選択の自由」が低い原因として挙げられます。
国境なき記者団が世界180カ国を対象として行なった調査『世界報道自由度ランキング2019』によると、日本は67位と高くはない順位です。他国に比べた言論の自由が低いことも幸福度を下げる一つの要因となっているのではないでしょうか。

次に「寛容度」に関しては、ボランティア活動への貢献度から各国の数値を算出しています。具体的には、一ヶ月以内にボランティア/寄付活動を行ったかどうかの調査を行なっています。
日本社会では欧米ほどボランティア活動が根付いていないため、この数値が低い結果となっています。
一般的にボランティア活動への参加姿勢と幸福度には正の相関があると言われており、ボランティアや相互互助の文化を根付かせることも、日本の幸福度を高めていく上での課題となりそうです。