ESGランキングTOP5はどんな企業?上位企業の特徴や取り組みを徹底解説

ESG経営
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優れた企業とはどんな企業だろう?

経営者のみならず社員、はたまた就活生皆が一度は考えることではないでしょうか。ひと昔前なら最大利益を確保する、株主価値が最大になる企業が優れているとされてきましたが、近年は収益に加えて、社会性・国際性いわゆるESGをバランスよく取り入れる企業が優良企業と呼ばれます。

では、優良企業をどう見極めれば良いのか、その需要に応える形で生まれたのが「ESGランキング」です。この記事ではESGランキングの内容から実際にESGランキングTOP5に名を連ねる企業を解説していきます。

ESGランキングとは?

「ESGランキング」はESGを重視する優れた企業をランキング形式で発表したものです。ESGランキングで上位にランクインした企業は投資家や資産運用会社から高い評価を受け、資本コストを安く投資を受けたり、債券を発行できるといったメリットが手に入ります。

近年、ESGEnvironment:環境Social:社会Governance:ガバナンス)の観点から企業を分析・評価して投資するESG投資が主流となり、投資家が簡単に優良企業を探し出せるツールとしてESGランキングが重宝されています。

ESG投資について詳しく知りたい方はこちらの記事を合わせてご覧ください。

ESGランキングの評価方法

今回記事で紹介するESGランキングは、東洋経済新報社が2016年から毎年発表している「ESG企業ランキング」を参考にしています。

東洋経済新報社では、企業のESG評価を「環境・社会性・企業統治・人材活用」の4つの観点から作成し、1つの分野につき100点(合計400点満点)で点数付けしています。このESG評価は財務指標の内、ROE(株主資本利益率)のみを対象としているため、企業の規模に左右されないことが特徴です。

ESGランキングTOP5

この章では東洋経済新報社が2021年に発表した「CSR企業白書2021年版」からESGランキングTOP5の企業をご紹介します。本記事ではランキングは TOP20位まで、具体的な紹介はTOP5のみとなりますが、CSR企業白書には上位500社までが記載されているので、気になる方はそちらもチェックしてみて下さい。

上位20社のランキングは以下の通りです。

順位企業名
1SOMPOホールディングス
2オムロン
3j.フロント リテイリング
4富士フィルムホールディングス
5KDDI
6東京海上ホールディングス
7丸井グループ
8TOTO
9トヨタ自動車
10日本電信電話
10大和証券グループ本社
12第一生命ホールディングス
13ファンケル
14JT
15MS&ADインシュアランスグループホールディングス
16セイコーエプソン
17キリンホールディングス
18キユーピー
19花王
20大和ハウス工業
図1 ESGランキングTOP20社
出典:「CSR企業白書2021」(東洋経済新報社、2021年4月)

ここからは、TOP5の個社毎の特徴や取り組みを見ていきましょう。

ESGランキング1位:SOMPOホールディングス

SOMPOホールディングスは昨年に続く1位を獲得し、ESGに関しては盤石な地位を築いている企業です。SOMPOホールディングスは2010年に設立された損害保険会社で従業員323名(2020年3月時点)を抱えています。

SOMPOホールディングスの特徴

SOMPOホールディングスは気候変動や人権・地域社会への配慮を事業プロセスに取り組み、レジリエントで持続可能な社会の実現に貢献しています。また、内部監査チームによる情報収集や意見交換を通じて、ESGに関するリスク管理を徹底しています。

SOMPOホールディングスは環境問題に特に力を入れており、環境負荷削減やSDGsを積極的に取り組む姿が高く評価されました。

SOMPOホールディングスの取り組み事例

  • SAVE JAPANプロジェクトを通じて「いきものが住みやすい環境づくり」を進める
  • グループ全体でGHG排出量削減へ。2030年までに約21%、2050年までに約51%削減を目標とする(いずれも2017年比)。
  • 2020年4月から社員が「働きたい会社」を目指した人事戦略を開始。能力開発支援やグローバルな人材の育成を行う。

SOMPOホールディングスのESG事例を詳しく知りたい方はこちらの記事を合わせてご覧ください。

ESGランキング2位:オムロン

オムロンは昨年の3位から1つ順位を上げて2位となりました。オムロン株式会社は制御機器事業やヘルスケアを中心として多岐にわたる事業を展開する企業で、日本のみならず約120の国々でサービスを提供しています。

オムロンは日本のESGランキングだけでなく、海外が開発したESG指標においても連続して選定される世界的なESG企業の1つです。

オムロンの特徴

オムロンの特徴は「グリーンオムロン2020」に見られるように、業績目標と事業戦略・サステナビリティ目標を中期経営計画(VG2.0)で一体とすることにあります。また、オムロンは企業理念をベースとして経営のスタンスを定める方法を徹底しています。

オムロンはガバナンスに対する評価が特に高く、持続的な企業価値の向上を実現するために「オムロンコーポレートガバナンスポリシー」を制定し、経営の透明性や公平性を図っていることが評価されました。

オムロンの取り組み事例

  • 製品の企画段階で環境アセスメントを導入・実施。環境負荷低減目標を設定する
  • 通い箱の利用や梱包方式の見直しで梱包材使用量を前年比で14%削減(2019年度)
  • 工場排水を利用したビオトープでイチモンジタナゴの保護と増殖に取り組む

参考:オムロンHP「持続可能な取り組み」

ESGランキング3位:j.フロント リテイリング

j.フロントリテイリングは大丸や松坂屋といった百貨店事業やパルコを始めとするショッピングセンターを展開する企業です。日本の大都市と呼ばれる場所にはj.フロントリテイリングに属するマーケットがほぼ存在しています。

j.フロント リテイリングの特徴

j.フロントリテイリングはESGの取り組みとして、7つのマテリアリティを示した上でそれぞれに中長期目標を設定しています。7つのマテリアリティは以下の通りです。

  1. 脱炭素社会の実現
  2. お客様の健康・安全・安心なくらしの実現
  3. ダイバーシティ&インクルージョンの推進
  4. ワーク・ライフ・インテグレーションの実現
  5. 地域社会との共生
  6. サプライズチェーン全体のマネジメント
  7. サーキュラーエコノミーの推進

また、j.フロントリテイリングはイニシアティブへの参加に積極的で「国連グローバル・コンパクトの署名」や「RE100の加盟」を通じたESG経営を得意としています。

j.フロント リテイリングの取り組み事例

  • 2017年4月「株式会社JFRクリエ」を設立し、障碍者が能力を発揮できる環境づくりに着手
  • 女性管理職の登用を積極的に行い、2015~2020年の間に女性管理職率を6.2%増加
  • 2009年12月からペットボトルキャップの回収BOXを設置し、リサイクル対価をワクチンとしてNPO法人に寄付。2018年5月に26万人分のワクチン寄付に成功

参考:j.フロントリテイリングHP「サステナビリティ」

ESGランキング4位:富士フイルムホールディングス

富士フイルムホールディングスは2021年3月に「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」環境サステナブル企業部門で選定委員長賞・銅賞を受賞しました。2030年度を目標とした「サステナブルバリュープラン2030」を策定し、着実に成果を上げていることが評価されました。

富士フイルムホールディングスの特徴

富士フイルムホールディングスは最新のプリンター技術を利用して多くの事業を手掛けているのが特徴です。環境・健康・生活・働き方・サプライチェーン・ガバメントすべてにおける取り組みを可能にし、持続可能な社会づくりに貢献しています。

富士フイルムホールディングスの取り組み事例

  • 南アフリカ・ミャンマー・キルギスなどで技術指導のためのワークショップを開催
  • 製品ライフサイクル全体でのCO2排出量を30%削減(2019年)
  • 富士フイルムグループの基幹ポストにおける外国人の比率が26%に増加

参考:富士フイルムホールディングスHP「CSR活動報告」

ESGランキング5位:KDDI

KDDIはESGランキングで毎年上位に名を連ねる通信事業会社です。豊かなコミュニケーション社会の発展を目標に「暮らし・ビジネス・グローバル」を1つにつなぐ役割を果たしています。

KDDIはSDGs達成のためのサステナビリティ活動が盛んで、2030年を見据えた「KDDI Sustainable Action」を策定し、5GやIoTを活用した持続可能な社会づくりに貢献しています。

KDDIの特徴

KDDIの特徴は「エネルギー分野」と「海外事業」に強みを持っているところです。1つ目のエネルギー分野に関しては新電力auでんきの成功が物語っており、他の通信会社が苦戦する中で断トツの契約数を誇っています。

2つ目の海外事業に関しては、世界62都市に100以上の拠点を有するKDDIが他の通信会社に差をつけている状況です。KDDIはインフラの不十分な国に通信サービスを提供することで発展途上の国の生活基盤を向上させることに貢献しています。

KDDIの取り組み事例

  • 2017年4月から同性パートナーの家族・配偶者を社内制度に適用。同性パートナーも平等に各種手当を受けることが可能に。
  • 福井県小浜市でIoTを活用して鯖の養殖効率化を図る「鯖・復活プロジェクト」に参画
  • 2017年3月期から「働き方変革推進委員会」を発足し、労働生産性を図る

参考:KDDI HP「ESG(環境・社会・ガバナンス)」

ESGランキング上位の鍵は総合力

今回はESGランキングTOP5の企業を解説しました。ESGランキングの上位に入る企業はESGの基本的な取り組みは当然のこと、自社の強みを活かしたオリジナルの取り組みを模索し、実行しています。

ESGランキング上位の企業には総合力が備わっており、時代の流れに対応できる強さがあるため投資家に支持を受けやすいと言えるでしょう。ESGランキングはブランドイメージとは違い、より現実的な数値なので、これからの日本企業を評価する上での重要な指標になると考えられます。

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